野蛮な戦争の死

 

時が打つ
時が打つ
地球の上に埃が飛ぶ

町は歌う
町は歌う
砂漠では砂が轟いている。

川を横切って
川を横切って
槍が飛ぶ ひゅうんと

野蛮人 倒れた
野蛮人 倒れた
そして眠る、お守り光らせて

やわらかいもやのように
やわらかいもやのように
彼の魂 飛んでゆく

そして太陽の玉のなか
そして太陽の玉のなか
斜めにすばやく突き刺さる 

四つの戦争
四つの戦争
剣で空をおどかしている

殺された男の妻
殺された男の妻
膝で這いずって川のほうへ 

殺された男の妻
殺された男の妻
ひとかたまりの石をわる

そして死者を隠す
そして死者を隠す
わった石の下、砂のなかに

四つの戦争
四つの戦争
四百の昼夜が押し黙る。

四百の昼夜
四百の昼夜
地球の上で時は打たない。

 

 (1938627日)

 

 

挿絵 河原朝生